今回は、どんな場合に生前贈与をしたら良いのか?、どんなステップを踏んで進めていったらよいか?を考えていきます。
まずは、財産の整理、評価など現状把握と分析を行ない相続税がかかるかシミュレーションします。
節税目的であれば相続税がかからない限り、手間とお金をかけるべきではありません。
贈与前に検討すべき3点
- そもそも相続税がかからないなら、節節税のための生前贈与は必要ないこと
- 相続の「青写真」を作ること
- 相続対策の流れを確認しておくこと
1.相続税がかからないなら、節税のための生前贈与は不要
その判断の流れは、現状把握・分析・判断です。
相続税(相続税のあらまし:国税庁HPより)がかかるのは、全体の9.6%(H4年分国税庁発表統計データより)です。その方々は「相続対策として節税対策」が必要です。相続税がかからないのであれば、「争族対策」「(他の相続人に払える)資金準備対策」の2つだけが必要です。遺言書を作成し、もし分けにくい不動産が複数あれば、優先順位の低い不動産を売却しお金に変えておくのも良いでしょう。
2.相続の青写真を作る
相続税は、財産の総額、相続人の数などによって変わるので、その判断ができる青写真を作りましょう。
まずは、現状の財産内容(プラス財産+マイナス財産)を明らかにし、財産総額(概算)を評価します。
具体的な方法では、自分で作ったエンディングノートで評価します。必要があれば税理士などの専門家に試算してもらいます。
それによって、相続税がかかるのか、その額はどのくらいなのか、どの財産は誰にわたすのかを考えます。その中で、使っていない預金口座があれば整理し、負債があればどう解消するか、不要な契約は解約するなど実行すればその後の管理がしやすくなります。
最初に大まかな「青写真」を作りましょう。
3.「相続財産の流れ」に従って進める
1)財産の整理・評価(購入時でなく、時価で評価)
①預金・不動産・株式などの財産
・名義預金は親族名義でも、実態として自分のお金なら財産に含めることに注意
・不動産は、固定資産税評価額の1.1~1.2倍で評価(自己利用の場合)
・上場株式、投資信託は、証券会社のWebサイトや郵便物で確認
②生命保険の保険証券(積立型の保険は解約返戻金)
③債務(事業用ローンは借入金額)
2)相続税がいくらかかるか : 財産や相続人の数をもとに相続税を試算します
※ 基礎控除額以下なら、相続税はかかりません。
3)誰に何を分けるか
①どの財産を誰にわけるか、そして相続税を払えるか
②渡すのは、生前贈与がよいのか、相続発生時がよいのか
③生命保険の非課税枠を有効につかう契約をした方がよいのか
④不動産などを現金化しておくのがよいのか
を検討します。
4)自分の生活費・楽しみのお金をどのくらいとっておくのか
①生前贈与や生命保険料への加入などで、自分の生活費や趣味(ゴルフ・旅行など)に使うお金が足りないのでは困ります。
まずは下表にもとづき、ご自身で生活費や人生の充実のためのお金を事前に見積もって確保します。
分類 | 主な内容 |
1)つかう | 生活費、娯楽 |
2)そなえる | 趣味、旅行、リフォーム、車関連、医療費、介護施設入居費、子・孫へのお祝い、葬儀費用(2人分)、その他 |
3)のこす | 子ども、孫へ(相続対策必要) |
<参考> 65歳以上の高齢者無職世帯の家計収支
65歳以上の夫婦高齢者無職世帯の家計収支(2022年総務省統計局HP 家計調査年報より)
<収入> 実収入:246,237円 内訳:年金収入、その他 220,418円、不足分 22,270円
<支出> 税金・社会保険料:31,812円、 消費支出:236,696円
65歳以上の単身高齢者無職世帯の家計収支
<収入> 実収入:134,915円 内訳:年金収入その他 121,496円、不足分 20,580円
<支出> 税金・社会保険料:12,358円、 消費支出:143,139円
平均余命(厚労省「R4年簡易生命表の概況」)をもとに、上表不足分を何年分考慮したらよいか判断する。 仮に、生活費が足りない場合は、老後の収入を増やすための運用も選択肢です。具体的には、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)などを利用した長期投資です。
4.出来上がった対策案の取扱い。 実行前にやっておくべきこと
「遺言書(遺言執行者の指名)を作る」「贈与契約書を作る」「生命保険を活用する」「不動産を現金化する」「死後事務を対応する」などにおいては、専門知識・ノウハウ・資格・人脈などが必要のため、一般の方がご自身だけで対応するのは難しいことでしょう。専門士業の先生にご相談いただいても、専門外の対応は厳しいのがほとんどです。お薦めしたいのは、当事務所をはじめ終活全体をワンストップでサポートするコンサルタントにご相談されることです。終活専門コンサルテイングが対策案を確認し、適切なアドバイスを行ないそれを反映させた改善策の実行を担ってくれます。初回相談が無料のケースが多いので、お気軽に問合せてみて下さい。
ご自身の相続対策において、是非参考にして下さい。 by 群馬県太田市 瀧口行政書士事務所