前回(前半)で、贈与の基本的なことを中心に説明してきました。今回(後半)は贈与の種類・非課税枠、注意点、節税効果について取り上げます。

2. 贈与の種類と非課税枠

1)暦年贈与:毎年決まった金額を贈与する最も一般的な方法。1年間の贈与額に応じて税金が計算されます。

基礎控除:1年間に110万円までの贈与は非課税。 この110万円を超えた額に対して、贈与税(累進課税)が適用されます。

2)相続時精算課税制度:一定の条件下で2500万円(複数年贈与は累計額)までの贈与を非課税で受けられ、相続時に相続税として精算される制度。

所轄税務署長への届出が必要です。途中撤回をすることはできない

非課税枠:贈与の年の1月1日において、60歳以上の親や祖父母から18歳以上の子や孫に贈与した場合、2500万円まで非課税。ただし、相続時に精算されます。 父と母から各2500万円を受領すると、1人の子について合計5000万円まで贈与税が課税されない。。

3)贈与税の配偶者控除:次の一定要件のもと、配偶者から居住用不動産または居住用不動産の購入資金が贈与された場合、贈与税の課税価格から一定額が控除できる制度。

①婚姻期間が20年以上の配偶者間の贈与であること。内縁関係を除く

②居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与であること

③一定の居住要件を満たすこと

④申告書を所轄税務署長へ提出すること

控除額:基礎控除額(110万円)とは別に、贈与税の課税価格から最高2000万円を控除できます。

4)住宅取得等資金贈与:父母・祖父母などの直系尊属(年齢制限なし)から住宅取得資金の贈与を受けた受贈者(18歳以上が条件)が自己の居住用家屋の新築、取得、増改築等し、かつ居住要件を満たした時に一定額が非課税となります。

非課税枠:省エネ等の住宅用家屋1000万円、それ以外の住宅用家屋500万円 (2026年12月31日まで)

5)住宅取得等資金贈与に係る相続時精算課税制度の特例

この特例は、住宅取得等資金の贈与を受けた場合に適用されます。通常の相続時精算課税制度と異なり、親や祖父母の年齢制限がない。  したがって、60歳未満の直系尊属からの贈与についても適用があります。

特別控除額:贈与者ごとに2500万円は贈与税がかからない。

6)教育資金一括贈与:30歳未満の者が、教育資金に充てるため、金融機関等との契約に基づき、直系尊属(父母・祖父母)から信託受益権を付与された場合などにおいては、信託受益権等の価額のうち1500万までは贈与税が非課税となります。

非課税枠:1500万円(学校等以外に支払う金銭等は500万円)

7)結婚・子育て資金一括贈与:18歳以上50歳未満の者が、結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等との契約に基づき、直系尊属(父母・祖父母)から信託受益権を付与された場合などにおいては、信託受益権等の価額のうち1000万までは贈与税が非課税となります。

非課税枠:1000万円(結婚費用は300万円)

①結婚費用・・挙式費用・衣装代等の婚礼費用、新居費用・転居費用などの家賃

②妊娠、出産及び育児に要する費用・・不妊治療・妊婦検診費用、分娩費用・産後ケア費用、子の医療費、幼稚園・保育園等の保育料(ベビーシッター代含む)

4. 贈与の注意点

1)贈与契約の確定:贈与は贈与契約が成立しないと成立しないため、文書などで明確にすることが重要。

2)暦年贈与の使い過ぎに注意:毎年110万円までの非課税枠を利用する場合、過度に贈与を繰り返すと、後で「相続財産の一部」と見なされるリスクがあります。

3)贈与税の申告義務:贈与額が110万円を超える場合は、贈与税の申告が必要。

4)相続時精算課税の選択は慎重に:一度選択すると暦年贈与の非課税枠が使えなくなるため、慎重な計画が必要。

5)非課税特例の利用には条件がある:住宅取得資金や教育資金、結婚・子育て資金の非課税特例は、それぞれ細かい条件が設定されており、用途や年齢、期間などの要件を満たさない場合には適用されない。

5. 贈与の節税効果

1)相続税対策としての贈与:生前に贈与を行うことで、相続財産を減らし、結果的に相続税の負担を軽減できます。

2)毎年の暦年贈与でコツコツ資産移転:毎年110万円の非課税枠を活用して、相続開始前に少しずつ資産を子や孫に移転することで、相続税の課税対象を減らせます。

3)相続時精算課税で大きな贈与をまとめて行う:相続時精算課税を利用することで、大きな資産をまとめて贈与し、相続財産を減らして相続税を軽減できます。

4)非課税贈与特例の活用: 教育資金や住宅取得資金など、目的に応じた非課税特例を利用することで、まとまった資金を贈与しても税負担なく資産移転が可能になります。

まとめ>

贈与税の基礎控除や非課税枠を活用して、計画的に財産を移転することで、相続税対策として大きな節税効果が期待できます。

注意点として、贈与契約の明確化や、税制選択の慎重さが重要。

贈与に関する個別具体的な相談・計算・申告は税理士の専門分野になりますので、法的に当事務所が対応できないため、提携している税理士をご紹介します。お気軽にお声がけ下さい。

参考にしてください。   by 群馬県太田市 瀧口行政書士事務所

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