自宅や事業に利用していた土地を特定の人が引き継いだ場合に、土地の評価額を最大8割減額できる「小規模宅地等の特例(国税庁HP)」について取り上げます。その内容、利用するための条件を確認しておきましょう。土地の評価額が2割になれば、相続税の負担も大きく減らすことができ、遺された相続人が生活の拠点になる自宅土地を売却しなくてすむことにもなります。 2,000万円の土地であれば、400万円まで下がり、結果として1,600万円の評価減になります。

小規模宅地等の特例
1.小規模宅地等の特例とは
2.適用除外
3.適用要件
4.活用する上での留意点、ポイント
5.申告と分割確定が要件

1.小規模宅地等の特例とは(詳しくは国税庁HP参照)
小規模宅地等の特例とは、相続財産に一定の要件を満たす宅地等が含まれる場合、相続税の計算に含める額を減らせる制度です。 高度経済成長期に地価が高騰した影響で、相続税を納付できないがゆえに、やむなく土地を処分しなければならない人が増加したという背景をもとに制定された特例です。特例の適用要件や減額割合はその宅地等がどのように使用されていたかによって異なります。また、小規模宅地の特例を適用する際には、相続税の申告が必要となります。

相続時点での土地の利用状況限度面積減額割合
(居住用)自宅の土地
特定居住用宅地等(注1)
330㎡80%
(事業用)賃貸業以外の事業で利用している土地(店舗など)400㎡80%
(事業用)駐車場(青空駐車場はNG)などで利用している貸地賃貸業で利用している土地200㎡50%
(事業用)亡くなった人が経営する会社に貸している土地400㎡80%

2.適用の除外
相続や遺言によって土地を引き継いだ時しか適用されず、贈与の時は適用されません
②原則として事業や居住を継続しない土地は等については適用されません

3.適用条件:対象宅地の要件
被相続人が、被相続人と生計を一にしていた親族の居住、もしくは事業用に供していた家屋の敷地(宅地)
特定居住用宅地等(※1)と特定事業用等宅地等(※2)

特定居住用宅地等
1)配偶者が取得した場合
2)被相続人と同居していた親族が申告期限まで引き続いて居住している場合
3)配偶者及び同居法定相続人がいない場合
①相続開始前3年以内に自己又はその配偶者・三親等内の親族、同族会社、一般社団法人等が所有する家屋に居住したことがない
②相続開始時に居住していた家屋を(相続前に)所有していたことがある者を除外
③被相続人と生計を一にしており自宅を有していない等の親族が、相続開始前から申告期限まで自己の居住の用に供している場合

特定事業用等宅地等
1)被相続人が営んでいた事業を申告期限まで引き続き営んでいる場合
2)被相続人と生計を一にしていた親族が、相続開始前から申告期限まで自己の事業用に供している場合

特定居住用宅地等(※1)
⇒配偶者以外の者が取得した場合、相続税の申告期限まで引き続きその宅地等を所有していること
特定事業用等宅地等(※2)
⇒相続開始前3年以内に事業用に供された宅地等は除外。但し事業用建物等の減価償却資産の価額がその宅地等の価額の15%以上ある場合は適用可。

4.活用する上での留意点、ポイント
①財産中、特例の要件に合致する土地が、複数ある場合、特例適用をどこにするのかが効果的なのかを考えます。
利用する土地については、分割が確定していることが前提です。
③特例適用させたい不動産を、誰に継がせるかを考えます。
④特例適用の対象となる土地が複数あり、他の相続人が継ぐ土地も特例適用の対象となるならば、他の相続人の同意も必要になります。遺言があっても、同意が必要です。
⑤土地の相続の場合にこの特例を活用できるもので、生前贈与ではこの特例を使えない
税金面だけを考えれば、土地を贈与すると損をすることになります。

5.申告と分割の確定が要件
この制度を利用するためには、小規模宅地等の特例の申告が必要です。申告をして、どの土地で特例を利用するのか、前提条件に該当するかなどを意思表示して初めて利用できます。
この特例を使って、相続税がゼロになっても、相続税を必ず申告しなければならないこと忘れてはいけません。 

最後に、ご自身の場合に、活用できるか、もっと詳しく知りたい方は、税理士へご相談下さい。

ご自身の相続対策において、是非参考にして下さい。 by 群馬県太田市 瀧口行政書士事務所

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