遺産分割における法定相続と役割責任・貢献度相続は、相続人間での公平な分配を目的とした異なる考え方です。

それぞれについて解説します。

被相続人(故人)が、自分の意向を反映させ、相続人間で勘定と感情の折り合いをつけた円満相続を実現するための考え方について考えてみましょう。

1. 法定相続

概要

法律で定められた相続割合に基づき、相続財産を分割する方式です。

考え方

民法で定められたルールに従い、相続人が誰であるか、その人数、そして関係性に応じて、相続財産が自動的に配分されます。

例えば、被相続人に配偶者と子供がいる場合、配偶者には1/2、子供には残りの1/2を均等に分配することが一般的です。

法定相続は公平性を確保するための基本的な仕組みですが、被相続人の意思や家族の特殊な事情は考慮されません。形式的平等と言えます。

2. 役割責任・貢献度相続

概要

相続人の中で特別に役割責任を果たし、貢献があった者に対して、通常の法定相続分以上の財産を与える考え方です。実質的平等と言えます。

考え方

被相続人の介護や生活支援、または事業の維持や発展に特に貢献した相続人に対して、その貢献度に応じて相続財産の分配を調整します。

この制度は、相続人のこれまでの貢献度を評価し、今後の役割・責任を期待し、通常の法定相続では不十分とされる場合に、貢献と今後の役割・責任を反映するためのものです。

貢献度に基づく相続は、相続人間での話し合い(遺産分割協議)や、場合によっては家庭裁判所の調停や審判により決定されることがあります。

3. 両者の違いとバランス

法定相続は、すべての相続人に対して公平であることを重視し、明確な民法のルールに基づいて財産を分配します。一方、役割貢献相続は、相続人の中で特別な貢献があった場合、その貢献を反映して相続分を調整します。

法定相続により基本的な枠組みを提供し、役割責任・貢献度相続により、現実の家族関係や貢献度を反映させることで、より柔軟で公平な財産分割が可能となります。

4. 適用例

たとえば、長男が家業を継いで事業を発展させた場合や、娘が長年にわたって親の介護をしていた場合、法定相続分よりも多くの財産を受け取ることが合理的とされます。このようなケースでは、他の相続人との間で役割責任・貢献度相続が話し合われることになります。

このように、法定相続と役割責任・貢献度相続は、相続人間の公平を保ちつつ、貢献度に応じた柔軟な財産分割を実現するための手段です。

最後に、専門家のアドバイスを受け入れることも選択肢に入れてみては

また、家族だけで話し合うのが難しい場合は、専門家のアドバイスを借りるのも有効です。

相談することで、相続についての理解が深まり、公平な視点で話し合いを進めることができます。

ただし弁護士以外の方が、現実の遺産分割の調整・交渉することは法律で禁じられていることも踏まえ、お気軽に当事務所をはじめ他の専門士業事務所へご相談下さい。

参考にしてください。   by 群馬県太田市 瀧口行政書士事務所

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